マーラー本番玉砕(個人的に)

ついにやってきました。GPの翌日(4/23)は、マーラー交響曲第6番の本番の日。
朝起きると結構唇に疲れが残っていてびっくり。いつもなら、前日に相当吹くと、次の日は疲れはあるけれどちょうどウォームアップが終わったような感じで良い具合なのに。飲みに行ったのがまずかったのか、仕事の疲れが溜まっているのが悪いのか。
まあ、ともあれ、リポビタンを引っさげて会場へ。

筋金入りのお役所仕事

演奏よりも何よりも、この日一番のサプライズは、間近でお役所仕事を見ることができたこと。それも筋金入りの。
セッティングから、手伝いの団員に対する命令口調のきな臭い雰囲気が漂っていましたが、いざステリハを開始しようとすると、ホールスタッフから「ちょっと待ってください」の声が。何でも、バンダのために指揮者を写すカメラをこれからセッティングするとのこと。そこからが長かった。
「すいません」の一言もなく、さも当然と言わんばかりにマエストロを指揮台の上に立たせ、ステリハをストップさせたままカメラを調整。チェロやビオラの配置替えを迫る(というか、勝手に配置替えしてるし)など、周囲を大いに巻き込みながら悠々と仕事を進めます。おかげで、ステリハをやるはずの貴重な時間はどんどん過ぎ 〜 よく覚えてませんが10〜20分くらいかかったかな? 〜 前プロのリハが済んでしまうくらいの長さ。こんなもん、ちゃんとセッティングの時間内に終わらせるか、せめて微調整を残すのみにしておけばいいのに。大体、事前に団にもマエストロにも何の連絡もなくステリハを妨害するのってどういうこと?「ちょっとよろしいですか」「お時間頂戴して申し訳ございません」とか言うよね普通、社会人なら。しかも、スタッフのリーダーと思しき人は、40代も半ば過ぎという風にお見受けしましたが。「畏れ多くも、我々○○区職員が、ありがたくもカメラの準備をしてやるんだから、ステリハなんぞ待って当然!」というような態度はいかがなものかと。使用料返して欲しいです、○○○○ッ○ホール。せめて、リセッティングはボイコットしてもいいくらいだったような。

ステリハは軽く

やっとはじまったステリハは、かなり飛ばしながらつまみ食い程度にとどまりました。とは言え、不快感の残るものではなく、飢餓感を煽るような印象です。
前回のチャイ4のときは、指揮者がどんどんオケを追い込んで不機嫌そうな顔をする上に「できなのならテンポを遅くしましょうか?」という敵対的な態度だったので、煽り方がステレオタイプで浅いなあという印象でしたが、今回は結構いい感じです。濃い演奏ができそうな予感。
一番印象に残ったのは、「お客さまに『聴いてください』というのではなく、『聴け!』という演奏をするように」という指揮者の指示。要するにドSの演奏ですが、曲想も、団として創り上げてきた音楽もそういう感じだし、指揮者の言うとおり確かにそれを追求すべきかな?と妙に納得。

本番

本番です。まずラヴェル。さくさくと進みながらも、結構慎重な展開。出来は練習よりは良かったですが、いろいろと思うところはありました。音のスピード感を弦と管でもっと揃えること、中間部の表現方法など、まだやり残したものはあったかもしれません。要するにアンサンブル力に課題ありと言えるかと思いますが、演奏自体はまずまずかな。
休憩をはさんでマーラーの6番です。1楽章のはじめから、テンション上がりまくりの展開。繰り返し前にすでに疲れてきました。思えば、個人的にはこれがいけなかったんですね。
1楽章は、オケ全体としてはハイテンションのまま突っ走ることができました。しかしながら、演奏はさほど粗くならず、落ち着いていたと思います。普通の演奏会では、楽章が終わった後は、客席から大量の咳が聞こえてくるのですが、1楽章後は会場が水を打ったように静まりかえっておりました。これまでほとんど経験のない超気持ちいい体験。薬師丸ひろ子が聴きに来ていれば、思わず「カ・イ・カ・ン」とつぶやいたことでしょう(すいません古くて)。
2楽章。努めて冷静に、慎重に進めました。1楽章で結構疲れが溜まったように感じたので、取り敢えずの延命策です。全体の出来はあまり記憶に残らず。
3楽章。全体として非常に良い演奏だったと思います。織り目の細かい、それでいて柔らかい音色のppから、炸裂するものの冷静さを失わない非情なffまで、表現の幅も広かったと思います。ホルンの例の156小節目からの音型も、今までになくうまく行ったと思います。1stよく持ちますね。
4楽章。どうも4楽章に入った辺りから個人的に雲行きが怪しくなってきました。精神的な疲れではなく肉体的な疲れのようです。最後は結構ハズしまくっていたような・・・上のDが当たったことが唯一の救いです。
演奏終了後、ホルンの偉い人からは「melchiさん、最後崩壊してたね」というダメ出しをいただきました。というわけで、個人的にダメだったらしいです。玉砕。2ndなのに。
オケ全体としては良かったと思いますよ。4楽章は息切れがあったかもしれませんが(私のせいかも)。

レセプションは「空気読め」って

音楽と同じで、人と人との円滑なコミュニケーションには、場の流れを読む力、場の流れを作る力が大切です・・・という難しいことを考えてしまった。レセプションなのに。
何だかのトレーナーとかいう人の変な挨拶はちょっとなあ。「自分はいろいろな問題点に気付く力があるんだ」ということをアピールすることに注力し(そんなこと言われなくても団員のほとんどは分かってると思いますよ)、次回以降の動機付けとか何も考えてないんでしょうね。大人気ないというか。指摘の内容は合ってはいるけれど。
少なくともこの挨拶で初対面だった管の人は、みな引いていたように見えました。会場の右半分は拍手したり笑ったりはしてなかったし。

まとめ

演奏がダメだった(個人的にね)上に、レセプションで知らない人から大人気ないダメ出しも受けちょっとブルーです。でも1楽章とか3楽章とかが良かった(ように思う)だけに、釈然としないなあ。
今回の演奏会の個人的な反省点は、体調管理です。仕事が忙しいことなどを要因とした睡眠不足が数ヶ月続いた上での本番突入だったことが最大の問題。4月という演奏会の時期からすると、仕事で疲れているんだろうなという事前の予測ができたので、あまり音が高くないパートを希望しましたが、予想した以上の仕事が入ってしまったためか、疲れも予想以上に溜まりまくっていました。そろそろ年ですしね。ラクで楽しくて目立つ上に面白い曲はないものか。。。

そうそう、今回の演奏会の入場者数は1,100人を超え、当団としてはかなりの客入りとのことでした。ご来場いただいた方、ありがとうございました。次回の演奏会は9月ですが、ベートーヴェン交響曲第6番(田園)とストラヴィンスキー春の祭典を取り上げます。私のパートは、田園の2ndと春の祭典の5thです。上から下まで幅広くこなせるオールラウンドプレーヤーを目指したいと思います。何卒よろしくお願いします。