録音がよければもっと

久々にCDの感想など。遅ればせながら、アレキサンダー・ホルン・アンサンブル・ジャパンのCD「ジュピター」を購入、早速聴いてみました。

ジュピター

ジュピター

以下、主要な収録曲について、思ったことを書いてみます。

まずは、ワーグナーの「ジークフリートのラインへの旅」。
10重奏+パーカッションの編成。ワーグナーってホルンアンサンブルに編曲しても全然違和感がないところがいいですよね。実際いい響きしてます。要所で絡んでくるティンパニですが、あれはどうなんでしょう?何かポコポコいっているし。無理やり音量を絞ったような不思議な感じ。

次いで、CDのタイトルにもなっている、ホルストの惑星〜「木星(ジュピター)」。10重奏です。
努力は認めます、というか尊敬します。ハイトーンもすごいし。でもどこか変なんですよね。ハイトーンのアタックが妙に柔らかくて浮いてるのはまあ仕方ないとしても、奏者によってこれほどまでにアタックのニュアンスとか違いすぎて良いのかなあ?と素朴な疑問。まあ、かのアメリカン・ホルン・カルテットだって、全然違うわけですが。
で、再度聴いてみて、原因が判りました。録音をいじりすぎなんですよ。詳しいことは判りませんが、マイクの位置もおかしいのかも。妙に生音で入っているパート(低音パート)と、全体的にすごく遠いパート、アタックばかり強く聴こえるパートがあり、普通に吹いているところでも、いろんな楽器が混じっているように聴こえます。これだけバランスが妙だと、せっかくのストップの効果音が生きてきません。もったいない。
もう一つ欲を言えば、ハイトーンを披露しすぎかな。元の編曲(パックスマンで通販している12重奏版)では、ここまでハイトーンが無かったように思えます(うろ覚えなので違っていたらごめんなさい)。ハイトーンは、前半で一瞬見せて、途中はあまり出さずに、最後に出しまくりという構成にした方が、ベタではありますが聴いている方も盛り上がったかと思います。

3つめは、K.ターナー:ダブリンの幽霊(委嘱作品)
2001年のAHEJの第2回演奏会で初演された作品とのことです。ターナーらしさ満載で面白い。無理なく技巧を見せることができますし、先に指摘した録音のバランスの問題も、この曲では、音のコントラストがはっきり出て立体的な仕上がりになっており、いい方向に働いていると思います。この曲カッコいいですね。楽譜売ってないのかなあ。

W.パーキンス:4本のホルンのための協奏曲
ヒンデミットターナーを混ぜて2で割ったような感じの曲。面白いし、しかも良い演奏だと思います。この曲は、録音バランスは全く気になりませんでした。他の曲は大編成なのに、これは4重奏だからかも。早速楽譜をRobert Kingに注文。でも、実際やるとすると、各パートに大変なソロがあり相当手強そう。

ほかにも、ボザの「森にて」とモーツァルトの「フィガロの結婚」序曲を編曲したものが入っていましたが、トータルで見てみると、編曲もの(ワーグナー以外)の難しさ、そして大編成の録音の難しさがよく分かるCDだと思います。特に録音がねえ。本当に惜しい。