グルダのチェロ協奏曲

昨日のNHK芸術劇場では、異端のピアニスト、フリードリヒ・グルダが取り上げられました。グルダ作曲の「アリア」は大好きです。彼の作品をクラシック系の番組で流すとしたら、そのあたりが妥当な線かなと。蓋を開けてみたら、何とチェロ協奏曲やってましたねえ。新日フィルも思い切ったものだし、それを放送するNHKは随分はじけてます。
私がよく見ているブログのうち、ホラ吹きな日々さんのところでも、このチェロ協奏曲の話題が取り上げられてましたね。
グルダのチェロ協奏曲と言えば、吹奏楽、ギター、ドラムセットが伴奏を務めるファンキーな曲で、マニアの間では知る人ぞ知る珍曲。私がはじめて聴いたのは、15年以上前になります。
当時、アマデオ盤でハインリヒ・シフが独奏、ウィーン・ブラス・アンサンブルが伴奏のCDが出ていましたが、その頃既に手に入りにくく(現在は廃盤?)、東京西部のCDマニアのコア・スポットである「吉祥寺の山野楽器」で見つけた時には、大いなる感動を覚えたものです。カップリングの「ウルスラのための協奏曲」(ウルスラ・サンダースが、歌いながらパーカッションを叩き、BPOが伴奏という豪華(?)版)も、オペラが突然映画音楽のようになったり、奇抜な感じでした。
チェロ協奏曲は、現在はこのCDが入手が容易かと。

Concerto for Cello & Brass Orch / Cello Cto in D

Concerto for Cello & Brass Orch / Cello Cto in D

うろ覚えで申し訳ないのですが、このチェロ協奏曲は、確かシフに「曲をちょうだい」ってせがまれたグルダが、「しょうがないなあ」と適当に書いた曲を渡してやったんでしたよね。ところが、シフが「どんなもんだい」って感じで鼻高々にあちこちで演奏して回っているので、グルダが「バカじゃないの?」とせせら笑っていた、ということだったと記憶しています。随分前に本屋で立ち読みしたグルダの自伝の内容の記憶のみに基づいて書いているので、違っていたら申し訳ありません。
グルダの自伝も、現在は絶版のようです。ユーズド価格が5,000円とは、出品者も大胆なものです。

グルダの真実―クルト・ホーフマンとの対話

グルダの真実―クルト・ホーフマンとの対話

この自伝は他人の悪口が一杯なので、グルダファンにはたまらないでしょうが、グルダのことを良く知らない人が読むと、気を悪くする可能性があります。

そう言えば、チェロ協奏曲で新たな発見が。5楽章で突然短調に転調するところで、ソロを吹いているのはホルンだとばかり思っていたのですが、何とトロンボーンでしたね。先のアマデオ盤のCDでは、上のB♭、A♭の音程が妙に低いので、オケ仲間の間では「F管使っているからかなあ?」「ウィンナ・ホルンの特性かねえ?」という会話が交わされていたのですが(あぁマニアな会話)、全然見当違いでした。当時私の発言を聞いて「ホルン・ソロ」だと信じ込んでしまった皆様には、深くお詫び申し上げます。