受信料を払おう

ちょっと日が経ってしまいましたが、1/9の芸術劇場はすごかった。

演奏の前に、森田美由紀さんの情報コーナー。この人がいなくなってからニュース10はさみしい限りです。スポーツコーナーで、不必要に声のトーンを上げ下げしてはしゃぐ○働を一瞥する様が素晴らしかったのに。

さて、肝心の演奏曲目ですが、前半は、ゲルギエフウィーン・フィルラフマニノフのピアノ協奏曲第3番とチャイコフスキー交響曲第4番。ゲルギエフは、例によって爪楊枝を持って登場です。チャイ4は金管がやさしすぎて期待はずれだったんですが(でもいい演奏だったんですけどね)、Pコンが本当に素晴らしかった、というか圧倒されまくりです。
独奏者のブロンフマンがグリズリーのような巨体から繰り出す、時に繊細で、時に力強い音楽の対比が見事です。技術面も完璧。あんな太そうな指がどうしてあそこまで動くのか。「いつもより多めに指を回しております」という合いの手を入れたくなるような。ただでさえ、独奏ピアノの音が28,700個以上もある音の洪水のような曲なのに、それが本当に1音1音息もつかせず突進してきます。ラフマニノフの演奏中ずっとハイテンション。固唾を飲む隙もありませんでした。圧巻。

後半は、ラトル/ベルリン・フィルが演奏するブラームスのピアノ四重奏曲(シェーンベルク編曲の管弦楽版)。曲を知らない上に、編曲ものは期待はずれになることがあるので(一時期はやったベートーヴェンの第九のマーラー編曲版など)、果たしてどうなんだろうという不安まじりに聴き始めましたが、これが予想を大幅に裏切るスゴさ。原曲を知らないので良く分かりませんが、ブラームスっぽい旋律を持つ全く別の曲に仕上がっています、多分。「ブラームスへのオマージュ」とでも名付けた方がしっくりくるのではないでしょうか。これだけ奔放に編曲されたものを聴いてしまうと、原曲を聴いたら恐らくがっかりするんだろうなあ。
やはり、特にホルンを中心に聴いてしまったのですが、こういう時はドールは頼もしいです。吹きまくりでした。楽しそうなユニゾンも満載だし。是非やりたい。

実はうちのオケの次回(9月)の定演のメインが、チャイ4かブラームスのピアノ四重奏かのどちらかになる予定となっております。私は後者を知らなかったため(普通知らないと思うが)、チャイ4がいいなあなどと言っていたのですが、考えが変わりました。この機会にやらずして、いつシェーンベルク(もとい、ブラームス)をやるんだ!

今回の芸術劇場は、さすがNHKだと思いましたね。2時間ちょっとというわずかの時間に、これだけの濃い内容を詰め込めるのはNHKだけです。巷に出回っているような映像ばかり繰り返し流して、月に3千円も取るクラ○カよりずっと良心的です。これだけで受信料を払う価値がありました(3か月分くらいね)。受信料の使い道を「クラシック音楽限定」とか指定できるともっといいんですけど。